2013 年 51 巻 2 号 p. 135-145
本研究では、特別支援学校のコーディネーターが巡回相談を契機として、地域の人的環境への介入を図りながら就学期の移行支援体制づくりを実践した。実践では、引き継ぎを成功させる必要条件としてのツールを整え、移行支援会議を催し、教育支援方針の共通理解を促し、関係者の力量を高めるための研修を行うことを、既存の資源の機能化や最適化も勘案しつつ実現に導いた。その結果は、関係者全員が障害のある子どもを時間経過の中で一定の方向性をもって変化し続ける存在であるという捉え方を共有することにつながった。特別支援学校のコーディネーターは、明確な目標設定の下でキーパーソンと協議を重ねながら協働することにより、地域の関係機関・関係者との結びつきを強めることに成功した。その取り組みは、地域の移行支援体制整備に効果を及ぼした。今後は、コーディネーターの地域参画・参入のあり方等に関する知識とスキルの明確化が求められる。