目的:運動ソーシャルサポートと運動行動との関連性が,外向性の高低によって異なるかどうかを検証した.
方法:この横断研究は,兵庫県神戸市中央区,高砂市,三木市,宍粟市の住民基本台帳から無作為抽出された79組(158名)の中高齢夫婦に郵送調査を行った.運動行動の指標として,日誌調査で運動時間を,活動量計調査で中強度以上の歩行時間と歩数をそれぞれ7日間測定した.運動ソーシャルサポート,外向性,基本属性(性別,年齢,教育歴,フレイル,就業)は質問紙調査で評価した.運動行動を従属変数とした重回帰分析を行った.
結果:対象者全体の分析の結果,運動ソーシャルサポートと外向性の交互作用項が,運動時間(β=0.16,p=0.04),中強度以上の歩行時間(β=0.16,p=0.04),歩数(β=0.16,p=0.03)へ有意に回帰していた.外向性の高さで層化した分析の結果,外向性が高い群では,運動ソーシャルサポートは運動時間(β=0.32,p=0.02),中強度以上の歩行時間(β=0.28,p=0.03),歩数(β=0.27,p=0.04)へ有意に回帰していた.一方,外向性が低い群や中程度の群では,運動ソーシャルサポートはいずれの運動行動の指標にも有意に回帰していなかった.
結論:運動ソーシャルサポートと運動行動との正の関連性は,外向性の高い人でのみ示された.運動ソーシャルサポートは,外向的な人の運動行動へは肯定的な影響を与えている可能性がある一方で,そうでない人の運動行動へ与える影響は限定的である可能性がある.